学校での人間関係と中学受験

中学受験は絶対にしなくてはならないものではありません。公立の小学校に通っている児童のほとんどは、区立や市立の中学へ持ち上がりで進学します。そこに受験のような試験はありません。勉強をする必要は全くないのです。
それに比べて中学受験をする児童は、遅くとも小学四年生になるまでには塾に行って勉強をしなければなりません。まだ小学生の遊びたい盛りにもかかわらず、毎日塾通いが当たり前になります。
受験をする予定のない子が、受験をする子を遊び誘ったとします。「今日も塾だから遊べない」と断られます。それが次の日も次の日も同じ会話がなされたとき、受験をする子の周りにはいつの間か誰もいない、そんなことが起こり得るかもしれません。子どもは単純です。自分に都合の良い人としか上手く付き合えません。そこに配慮はないでしょう。

受験が近づいたときに周囲が騒がしかったら、受験をする子はどう感じるでしょう。受かるか分からないストレスに苛まれ、イラつきが収まらない子がほとんどだと思われます。親に強制され、嫌々勉強する子も多いはずです。自己嫌悪にも襲われることでしょう。自分を嫌いになると、周りの人間も信じられなくなっていきます。そこでまた、人間関係は崩れていきます。

中学受験をするから、他の子よりも偉いというわけではありません。そこをどこか履き違えている児童もいますが、教員はそれに対しどのような対応を取らなければならないか、ひとつの課題であと言えるでしょう。

前述に述べた事柄は、すべて公立からの受験を想定した場合です。
もし私立の小学校から私立の中学校へ進学する場合、周りはほとんど顔見知りとなります。しかし少なからず、公立からの進学者もいるかもしれません。そこで注意しなくてはならないのが、いじめの問題です。明らかに持ち上がり組が多い場合、数が多い方が強いと勘違いを起こします。これらは校風によっても異なるため、中学受験をする際は、普段の生徒の様子を観察するべきでしょう。

中学生になるということは、小学生にとって大人になった、と同等の感覚だと思われます。しかし、実際のところ中学生と言ったらまだまだ社会を、人間を、知らない子どもです。
公立から私立へ受験した子は、他の子と比べると、一歩リードしている状態です。中学受験をするのは人間関係においてはデメリットが多くありそうですが、中学に進学し、どう立ち回れるかによってその後の生活は変わっていきます。